工業簿記①
工業簿記の基礎
工業簿記とは材料や機械などを仕入れ、加工し、製品を作り出す製造業、メーカーで用いられる簿記の事。
工業簿記において、原価計算を正確に表現することが求められる。
というのも、製品を作るのには時間がかかるため、瞬間のBSを表現するためには、原価計算を行い加工中の製品を正しく財務諸表に表現する必要があるからだ。
その原価を計算する期間のことを原価計算期間といい、一ヶ月ごとに行われる。
原価とは製品を製造するためにかかった費用のことで、製造原価と呼ばれる。
ただし、製品を販売するまでにかかった費用は他にも存在し、最終的な原価のことを総原価という。
総原価を構成するのは①製造原価、②販売費、③一般管理費の3つである。
製造原価の種類
製造原価を分類する上で、大きく3つの捉え方がある。
形態別分類においては、①材料費、②労務費、③経費の3つに分類される。
製品との関係における分類においては、①製造直接費と②製造間接費の2つに分類される。
操業度(生産設備の利用度)との関係における分類においては、①変動費と②固定費に分類される。
材料費
材料費は①直接材料費と②間接材料費に分けられ、直接材料費は仕掛品勘定、間接材料費は製造間接費勘定へ振替される。
PBRとROEとPERって本当のところなんなの?
株価評価手法
企業が会社を運営していく上で、取締役は株価を気にしています。
株価というのは、取締役たちの成績簿みたいなもので、基本的には売り上げや純利益をあげれば、マーケットは今後も利益を生み出しそうと判断して、その株を買い、株価は上昇します。
しかしながら、マーケットは単に売り上げや純利益といったPLに現れるものだけ見ているのではありません。
ここでは、株価を評価する手法は様々存在しますが、ここではROE, PER, PBRの3つを紹介いたします。
①ROE(Return on Equity: 株主資本利益)
ROEは利益を株主資本で除したもので、株主資本に対してどれくらい利益を生み出しているのかを表しています。
イメージとしては、あなたが株主だとして、自分が投下したお金に対してどれくらい企業が稼いできてくれたか、というものです。
②PER (Price Earnings Ratio: 株価収益率)
PERは株式時価総額を利益で除したもので、利益に対する株価の高さ(低さ)を表しています。
イメージとしては、とある企業が生み出した利益に対してマーケットがどのくらい評価しているのか、と捉えられます。
逆に、利益をそれほど生み出していなかったとしても、マーケットがその企業に期待を寄せていれば時価総額は大きくなり、PERは高まります。
③PBR (Price Book-Value Ratio: 株価純資産倍率)
PBRは株式時価総額を株主資本で除したもので、株主資本に対する、株価の高さ(低さ)を表しています。
イメージとしては、企業が発行した時の株価に対してマーケットの期待値を織り込んだ倍率と捉えられます。
PBR, ROE, PERの関係
PBR, ROE, PERの三つには有名な関係性があります。
PBR = PER × ROE
⇒株式時価総額 / 株主資本 = 株式時価総額 / 当期純利益 × 当期純利益 / 株主資本
と表現されます。
この関係式は非常に面白く、例えば当期純利益が増えてたとしてもPBRは上がりません。
つまり当期純利益が増加すれば、直感的には株価が増加しそうですが、それはマーケットがその企業の株を買って初めて、PBRが上昇するというものです。
PBRの本質的な意味
PBR=マーケットの付加価値の割合
企業というのは、お金を借りてきて、それをなんらかの事柄に投資し、投資に対してリターンが大きい場合は利益が生まれます。
その資金調達と何に使っているのかはBS(貸借対照表)を見ることでわかります。
資金調達の手法は二つしかなく、負債(debt)と株主資本(equity)です。
イメージとしては負債は銀行から借りてきていて、株主資本はマーケットからお金を借りてきています。
ちなみに、株主資本は自己資本とも言いますが、それは株主が会社のオーナーであるという価値観に基づいており、企業を運営する側の取締役からすれば、銀行借り入れの場合は利息を払う必要があり、株主資本の場合は配当金を払う必要があるため、それらのコストを比較して会社を運営しています。
さて、話はそれましたが、PBRというのは、株式時価総額/株主資本であり、株式時価総額というのはBSには反映されていません。あくまで、株式時価総額が上がったとしても、企業からすれば、新たにその価格で株式を発行しないかぎり、会社の運営資金としてお金を調達できません。
しかしながら、株式時価総額というのはマーケットの期待値が織り込まれた数字であることから、株主資本を株式時価総額に置き換えた場合、BSの左側の資産との差額が生じます。
この差額は一体なんんでしょうか。
この差額こそが、マーケットの期待値であり、のれんと呼ばれるものです。
すなわちPBRが1より大きい場合は、マーケットはその企業の事業に対して期待をしていると判断できます。
一方でPBRが1より小さい場合、その企業はマーケットから期待されていないといえます。
ということで、PBRを用いて、その企業がマーケットの評価に対して割安なのか割高なのかを判断することができるのです。
ROEの本質的な意味
ROE=株主資本の効率性
株主はその企業に対して投資をしているわけで、その投資の目的とは利益の分け前をもらうことです。
そこで、自分たちが投資した金額に対して、どれだけの利益を生み出してくれているのかというのは株主にとっては投資先を選定する上で非常に重要です。
その指標がまさしくROEであります。
一方で、企業側からROEを考えて見ましょう。
企業が資金調達する方法は、DebtとEquityの二つがあり、その配分をある程度決めることができます。
企業の純利益が変わらないと仮定した時に、ROEを上げて株主に評価してもらいたいと思ったとします。
極端な場合、銀行から借り入れを行い、自己株買いをすることで、Equityを減らしてしまえばいいのです。
そうすれば、分母の株主資本が小さくなるのでROEは高まります。
さて、株主側に戻って見ましょう。
株主は自分が投資した金額に対してどれほどの利益を上げているのかを気にしています。
借り入れというのは、それは株主資本に対してレバレッジをかけて企業の事業投資金額を増やしてくれているとも理解できます。
(その分のリスクはありますが)
株主は事業投資金額が増えてくれれば、その分利益も増えるだろうと解釈します。
よって、借り入れを多く行ない、良い事業にお金を使っているのであれば、その分だけ
自分たちの分け前が増えそうだなと思います。
つまり、株主資本を効率よく使っていくれていると判断するのです。
PERの本質的な意味
PER = 株主の企業に対する期待とリスク
当期純利益とは、足元の事業においてどれだけお金を稼いだのか、そして将来に対する投資にどれだけ使ったのかによって変動します。
例えば、車メーカーが増産するために工場を建てたとします。
その場合、人件費や工場設立の費用が生じます。
(正確にいうと、減価償却を行うので単年で費用となるわけではありませんが)
これは、当期純利益を算出する前に差し引かれてしまい、株価が変わらないのであれば、PERは大きくなります。
これをちょっと抽象化して整理すると、
当期純利益が増加したのに、株価が不変 ➡︎ マーケットが期待していない
(利益が一時的なものと判断した等)
当期純利益が減少したのに、株価が不変 ➡︎ マーケットが期待している
(良い投資をしていると判断した等)
と捉えることもできます。
まとめ
PBRをROEとPERのそれぞれの特性から考えてみると、それらを総合した指標として理解することができます。
ROEは足元の株主資本の効率性、PERは株主の企業に対する期待とリスクでした。
よって、PBRはそれらを総合して、マーケットが事業効率性や将来性、リスクを織り込んで企業を評価している指標として捉えることができます。